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半袖が着たかった夏

小さな頃からアトピーを持っていた。

幼心にもひじのガサガサは気になったし、体操着でひざの裏の傷が見えるのもいやだった。大人は誰もが「大きくなったら治るよ」と言ったが、大人になっても治らないタイプの人もいるらしい。わたしがそうだった。

いつもアトピーを気づかれないように必死で、ひじやひざが出る格好はできなかった。おしゃれの幅が狭くなったようで悲しかったし、夏はいつも半袖の上に薄い綿の上着を羽織っていた。

軽やかにTシャツ1枚で楽しそうに過ごす元気な友達が羨ましかった。

そんな日々は20代も続いて、一時期は包帯を巻くほどに酷かった。勉強や仕事に集中できなくて涙をこぼした。それでも少しずつ症状はラクになっていった。

30代になった今でも具合が悪いとあちこちに症状が出る。それでも半袖に袖を通す時は嬉しくなる。

わたしのかすかな願い。「夏に半袖の服を着る」は、少しずつ叶って来た。とってもありふれた夢だけれど、こういう形で少しずつ叶うタイプの夢も、あるのかもしれない。

あっという間に春が来て関東の桜も咲き終わった。また半袖を着れるのも、もうすぐかもしれない。

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人生を生き直す長い旅をしています。お返しは何もできないかもしれませんが、旅のおともにいただけたらとてもありがたいです。

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Minako Masubuchi / Artist

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