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本当の心の色を見てみたい

はじめて髪にブリーチをしてもらったとき、美容院の鏡を見て「ああこんな色になるんだ」と思った。

しっかり黒い色素の詰まった髪なのだろう。つい先日、2回目のブリーチをしたときも前回と変わらない色に見えた。友達にほぼ銀髪のような髪色をした子がいるけれど、あの子は一体これを何回繰り返したんだろうか。そういえばいつものレモンサワーを2人で飲みながら「5回は繰り返したと思うんだけどね、全部で何回かもうわかんない」なんて言っていた。

美容師さんはニヤニヤしながら「ますぶちさん、30代で初ブリーチなんておもしろいねえ」なんて言っていた。「普通、もっと若い時期にやってみて今卒業してる頃ですよね」って返したら美容師さんも笑っていた。

その上からアッシュ系のカラーを乗せるのでしっかりとした金髪になるわけではないのだけど、ブリーチをして濡れたままの髪は、金というよりオレンジだった。

わたしの髪の色素はブリーチしていくとオレンジなのだなあ、と鏡で見た自分の髪色を忘れられないでいる。

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ネイルサロンに通うようになってもうすぐ5回目くらいだろうか。今のネイルはホログラムの入った紫だ。とっても気に入っているのだけど、ふと、違和感がよぎる瞬間があった。カウンセリングのときだ。

わたしは誰かにぐっと重みをかけて頼ることができない。それをずっとカウンセラーさんに気にかけてもらっていて、誰か一人にしっかり頼ることが必要なんじゃないか、と言われてきた。でも適切な「頼り方」がわからない。

だから、カウンセリングルームで先生と遊ぶようにしてみたらいいかもしれない、そんな話をずっとしていた。心の箱の中にあるドロドロしたものは、少し底をつきはじめ、中には大切にしていたぬいぐるみが入っていた。だから、ぬいぐるみ遊びがいいかもしれないと思った。

「ぬいぐるみ遊びを通して、あなたはどうやって遊ぶんですか?」

どうやってって言われても、ぬいぐるみ遊びにどうやって遊ぶも何もないよなあ、と思いながら考えていると、ふと頭に浮かんだ。

「自分が黒子みたいになって…ぬいぐるみに代わりに何かを話してもらうかもしれません」

「そうなんですね、あなたは黒子なんですね」

「自分で何かを直接相手に伝えるのが怖いんだと思うんです」

ふと、いつもとカウンセリングルームの風景が違うなと思った。なんでだろうと考えていたら、違うのはわたしの視界だった。いつも手元や足元を見て、しくしく泣いたりしながら俯いて話している。だけど今日は、向こうの壁がよく見える。先生の姿を久しぶりに見た気がする。毎週会っているのに。自然と視線が上を向く。この部屋でそんなことは起こったことがなかった。

カウンセリングは時間が決まっている。残り時間は何分だろうと手元の腕時計に視線を落とすと、紫のネイルが急に派手に感じられた。なんだか久しぶりに自分の素の爪が見てみたい、と思った。

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もし心の色をブリーチできたとしたら、わたしはどんな色が出てくるのだろう。真っ黒に色素を積み上げたわたしの心は、なかなか色を抜くのが難しいかもしれない。そもそも、ブリーチする必要もないかもしれない。

でも、自分の心の色を見てみたい。ものすごく派手な色かもしれない、やさしいパステルみたいな色も出てくるかもしれない。

どんな色でも、見てみたいとやっと思える気がする。


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Minako Masubuchi / Artist

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