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電車で席を譲るのが好きだ

こんなことを言うと、すごくいい人と思われてしまうかもしれないけれど、わたしは電車で席を譲るのが好きだ。

年配に見える方は、失礼にあたるかもしれないので、譲るかどうかの判断が難しいこともある。だけどほとんどの人が、声をかけると喜んで座ってくれる。みんな、疲れているのだろう。

わたしはコミュニケーションがすごく得意なわけでもないし、初対面の人と話すことに緊張しないわけでもない。でも、なぜか「電車で席を譲る」ということには抵抗があまりない。むしろ、初対面同士のとても面白い関わり合いだと思っている。

喜んで座ってくれる人たちの、少し驚いた顔が笑顔に変わる瞬間がとても嬉しい。電車をおりていくときに、もう一度お礼を言ってくださる方もいるくらいだ。

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以前、すてきな年配のご夫婦に出会った。

「どうぞ」と声をかけると、ご夫婦は「いえいえ大丈夫です」と言う。一度、遠慮する方は多い。「いえいえよかったら」とさらに勧めると、おじいさんは満面の笑みでこう言った。

「大丈夫ですよ。こう見えてもまだまだ若いので体力もありますからね。どうぞ座ってください。ありがとうございます!」

それ以上勧めるのは失礼かと思い、ありがたく座らせてもらった。譲ろうとしたら、むしろ座らせてもらってしまった。でも、いつかわたしがもっと年齢を重ねたら、こんな気持ちで席に座るのだろうか。少し嬉しくて、でも少し恥ずかしくて。近くでご夫婦は立ちながら楽しそうに会話を交わしていた。

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このあいだは、わたしの隣に空いていた1つの席に、ちいさな子どもがわーっと駆けてきて座ろうとしていた。保護者の方も一緒だったようなので、お子さんだけでなく保護者の方、おそらくお母さんにわたしの席をすすめた。

「いえいえ大丈夫です、この子だけ座れればいいので」とお母さんはびっくりしていた。「いえいえ、ご一緒に座ってください〜」と言うと、またびっくりした顔をしたあと、優しい声でお礼を言って座ってくれた。

席を譲るのが好きだなんて言いながら、いつも恥ずかしくて、譲った席から少し離れたところに移動する。そのときも、二人が見えないところに移動した。

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わたしは電車に乗ることは好きではないし、満員電車なんて本当になくなればいいと思っている。でもせめて、座りたい人に座って欲しい。

席を譲ることは、わたしがこの世界を好きになるためのちいさな行動のひとつなのかもしれない。

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人生を生き直す長い旅をしています。お返しは何もできないかもしれませんが、旅のおともにいただけたらとてもありがたいです。

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Minako Masubuchi / Artist

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