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生きづらさの課題図書を読む前に

実家でわたしが散々悩んでいた頃、母はよく本を渡してきた。「なんとか乗り越えよう」というメッセージなのだろうと思った。

だけどわたしには読む余裕もなかった。

実家を離れ、母と少し距離ができてからは図書カードをくれるようになった。いろんな本を買ってみたけど、最初は自分でも「乗り越えよう」系の本ばかり買っていた気がする。


今朝方、お世話になった先生に「全てお前が原因だ」と、課題図書をおしえてもらった。今先生は大変な場所にいる。


「お前とはレベルが違う。これを読んで、あとは自分で考えろ」


家の近くの本屋でその本を手にとって、あらすじを見てすぐに「なるほど」と思ったけれど、まだ読んでいない。母からもらった5,000円分の図書カードで買いきれると思ったけれど、残りは数百円しかなかった。あとは夫からもらっているお金で払った。これも何か意味があるのだろう。


もともといた実家は一番近いコンビニで徒歩30分。駅までのバスは少なくすぐ遅れる。だから母が選んだ本を渡されるしかなかった。車や原付の免許でも取ればいいのにと家族には言われたけれど、わたしは昔から興味がなかった。気が狂ったわたしが乗り物なんかに乗ったら、他人か自分を殺してしまう。確信があった。


家をでて結婚した今、コンビニも本屋もすぐ近くにある。母からもらった図書カードで好きに買い物ができるようになると、自分の読んだ本からヒントを感じられていたのかもしれないと思った。

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」の、「でもボロボロになっていくのは嬉しかった」の一コマで泣いたこと。

人間失格」のように、人見知りを克服したいとだけで始めた「道化」がいつのまにかもう何層になったのか。

蛇にピアス」の中で、恋人に以前から渡されていた「愛の証」の歯を、砕いてビールで飲み干すシーン。殺された恋人が自分の一部になったと感じて、それでも生きていく、犯人かもしれない人と一緒に。

そうして「ココ・シャネルの言葉」の中で一番好きなのは「かけがえのない存在でいるためには、人と違っていなくてはならない」ということ。こんなアーティストになりたいとルージュ・ココを塗っていたけれど、「ボロボロになっていくことは嬉しかった」わたしには、道化が過ぎたのだろう。

たくさん使っていたリップスティックに「CHANEL」の文字が見え始めたとき、普通に塗ったつもりが折れてしまったことがあった。ついこの間の話だ。


わたしがシャネルのように「嫌いだった」自分の人生を変えていくには、道化や、愛の証や、シャネルのリップを使うより先にやることがある。


道化を剥がしながら、ボロボロの自分に戻ること。愛の証やルージュ・ココに頼らずとも、自分の人生を変えていくこと。



ずいぶん長いこと突っ走ってきてしまった。気づくのが遅いことばかりだ。だから、今から少し眠る。

課題図書を読みながら、道化を剥がし、ボロボロになって、他の何がなくても自分を生きていけるようになるにはどれくらいかかるだろう。わたしの白紙のパスポートに、いくつスタンプが押せるかわからない。長い旅だ。

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人生を生き直す長い旅をしています。お返しは何もできないかもしれませんが、旅のおともにいただけたらとてもありがたいです。

きっと生きて会えますように
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Minako Masubuchi / Artist

Artist, JPN / 何が出るかな何が出るかな / 生きづらさの末に精神障害診断 / 4歳くらいからピアノ10年、学生時代は体育と英語が得意、数学ダメだけど証明問題は好き https://instagram.com/minakomasubuchi_jpn

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