道筋になってくれよ

2018年の頭くらいにはじめてブリーチをした。ある大事な撮影があって、もう遺影になってもいいよ!って言えるような写真を撮ってもらいたいとすら思ったときに、やっとブリーチを頼む勇気が出た。

遺影にしたいくらいの機会なら腹をくくるしかない。「髪いたむぅ〜」なんて言ってる場合でもない。もともと大して真面目にヘアケアだってしてなかったんだし。

一度、義実家の方の親戚と会うときにビビって黒に戻したことはあるけれども、あれからずっと美容院に行くたびにブリーチを重ねてきた。黒染めしてる時点で腹はくくれてなかったのだと思うけれど、それでもこの手入れの面倒な金髪を維持してきたんだ。

大概めんどくさいので元のダークトーンに戻そうと思うこともあったけど、金髪でいる。

なんでかな、と考えてみる。
みんな思春期にちょっとヤンチャしたくなったりするけれど、わたしはそうやって何かを自分の外見に表現することには興味を持てなかった。当然金髪にも興味はなかったと思う。

そんなわたしがPerfumeにハマり、彼女たちの曲をつくる中田ヤスタカさんを知ったとき。わたしは彼のある言葉に強く心を動かされた。

昔はケーブル色々変えたりして、音質を追求した事もあったけど、ケーブル変えるより自分を変えなきゃダメだなと思った

変わりたい、変わりたいと思っていた。自分のことが嫌いだった。何もかもうまくいかない現実、疲れるばかりの人間関係、これだと思って没頭するもうまくならない絵。わたしは腐っていた。そんなときに中田ヤスタカさんの言葉を聞いて思った。「変わる」んじゃない、「変える」んだ。

中田ヤスタカさんは写真でいつも、金髪の長い前髪から睨むような目をしている。強い言葉は、自分を鼓舞するためなのだろうか、それとも自然に出てくるのだろうか。わたしは音楽の人ではないけれど強く憧れた。

遺影になるくらい、本当の意味での自分の「アイコン」を撮るなら、彼と同じ金髪にしたい。


なぁ、道筋になってくれよ。弱々しくて、でも変に強くて、危なっかしいわたしの人生の。憧れる人の何かを取り入れると、強くなれる気がする。昔から様々なファッションアイコンがいるけれども、わたしのファッションアイコンは中田ヤスタカさんだ。

優しい顔つきではないから、いつもロングヘアをゆるゆるウェーブにしたり、自分の尖ったところを削ろう削ろうとしていた。金髪なんて人を怖がらせてしまうと思って考えたこともなかった。でもそんな金髪でい続けることが、わたしがわたしの意思で生きるための決意なのだ。

だいぶ体調が落ち着いたのでバランスを見ながら働ける方法を考えようと、ノートを開いてマインドマップを書いた。自分にとっての働くこと。働く上で譲れないこと。そのひとつが「やりたくない仕事を無理してしない」ということだった。甘いかもしれない。でも、どうせ生きるなら楽しい時間を楽しく働きながら死んでいきたい。

そして金髪の遺影を飾られて棺に眠ることができたなら、雲の上でダブルピースしてやるわ。


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人生を生き直す長い旅をしています。お返しは何もできないかもしれませんが、旅のおともにいただけたらとてもありがたいです。

きっと生きて会えますように
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Minako Masubuchi

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