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白い息、コンビニ、新しい世界

AM6時すぎ、家を出るとまだ空は薄暗くて「夜が明けて朝になってるんだなあ」なんてことをしみじみと思う。吐く息が白い。

「もしもし、おはようございますーますぶちです。今自宅を出ましたので、これから現場に向かいます」

登録していた派遣の日雇いバイトでは、出発したことを派遣会社のスタッフに電話で報告する決まりだった。折りたたみ式の白いガラケーで手が冷える。専門学校生時代の話だから、10年くらい前だ。


自宅付近には工場が多かったので、派遣されて工場内作業をすることが多かった。タバコのキャンペーンの箱を組み立てたり、コスメの袋詰めをしたり。

中でも一番多かったのはコンビニのお弁当を作る工場での仕事だった。プラスチックのお弁当箱がベルトコンベアで流れてきて、それぞれ担当の具材を入れる。決められた量を守るのは難しい。特に大変だったのは、ごはんを手でならす作業だ。ベルトコンベアの先頭の人がごはんの重さをはかってドカンと乗せ、それを均一に整える。「よく腱鞘炎になる人がいるのよ」と工場の社員さんが言っているのも納得な力仕事だった。コンビニのお弁当はもっと機械化されているものだと思っていたから驚いた。

知らないことは、どこに転がっているかわからない。少し何かを知るだけでも世界は変わる。たとえそれが「コンビニのお弁当のごはんは人の手でならしている」ということだけでも。

それ以来、コンビニでお弁当を見かけると「このごはんもおかずも、工場でたくさんの人が作ったんだな」という目で見るようになった。お弁当をまじまじと見る変な客になっていたと思う。


吐く息が白くなる季節には思い出す。朝が苦手だったわたしが、せっせと通った工場でのバイトのこと。日の入らない作業場で仕事を終え外に出ると、また空は真っ暗。でも、立ち仕事でクタクタになった足で歩く世界は、家を出たときより少しだけ新しい世界だった。

すっかり寒くなってきたので、白い息に関連して昔話を描いてみました(^ω^)感想・シェアなどいただけると嬉しいです!
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昔話つながりで、過去のこんなエッセイもよろしければどうぞ!^^
👉 恋のお墓をつくりましょう

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Minako Masubuchi / Artist

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